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2006年12月19日 火曜日
枯れるモノと咲くモノ
昨日、草木成仏のことを書いた後に、何気なくひらいた本がある。本の名は、平岩弓枝の「平安妖異伝」。その中の「花と楽人」という話がある。老木の桜の精が人にとりつくというお話。
その一部をここに紹介させていただく。(平岩弓枝「平安妖異伝」花と楽人の一部を引用・新潮文庫)
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「お若く、清げなる御方に恥をさらすのは忍びないことでございますが、この上は申しましょう。我が命は五百年を経て、漸く土に還る時を迎えて居りました。それをここに新第をお造りなされた御方が多くの花守を呼び集め、今一度、花の盛りに戻れと、さまざまの手当をなさいました。枯れるべき命を無理に永え、美しい花を咲かせるためには老女の顔に厚化粧をして、生命の源を吸い取らねばなりませぬ。それを望まれた御方が夜な夜な、我を迎えて精気を奪われたのは花の罪にはあらず、自然の命を黄金にて買い戻そうとする天命にそむく行いによるものでございました。あの御方の精気はすでに絶えて居ります。この上、生きて花を咲かせよと仰せならば、あの御方の御子息に移らねばなりませぬ」
道長が激しく身懐いした。それが、二人の兄の夢だったのかと思う。
真比呂が手をのばして、優しく桜の幹をなでた。
「あなたの苦しみはわかりました。のぞみはなんですか」
老女が恍惚の表情を浮べた。
「枯れることでございます。穏やかに、土に還り、静かに睡らせて下さいませ」
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平安時代なら、御方にとりついてもらえばそれで済んだのかも知れないが、現代では、そうはいかない。まわりまわっていつかは自分に返ってくる。あたしは知りませんでしたと言っても、手後れか・・・
「自然の命を黄金にて買い戻そうとする天命にそむく行いによるものでございました。あの御方の精気はすでに絶えて居ります。」となってしまうらしい。
で、今日の一枚はホトケノザ。このホトケノザはいつもなら二月から四月にかけて、花を咲かせる。
それが先週の日曜日に、空き地で咲いているのを見つけてしまった。いくら暖冬とは言え、見つけた時は少し恐くなった。
「花と楽人」の桜の精ではないが、ホトケノザは何かを伝えようとしているのではないのか。そして、少しずつではあるが確実に「何か」が近づいてきているように思うのは店主だけなのか・・・
投稿者 店主 : 2006年12月19日 19:29