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2009年12月13日 日曜日

存在と表現

 イギリスのテート・ブリテンという国立美術館(Tate Britainはイギリス・ロンドンのテムズ川畔、ミルバンク地区にある国立美術館)で、奇妙なアート作品が展示されたと言う記事を、ビッグイシュー132号で読んだ。
 写真家レザ・アラメッシュ(イランから亡命し、以来ロンドンに住む現代美術家・Reza Aramesh)が、イギリスの歴史に登場する王族、貴族、地主、富豪の肖像画が並ぶ美術館にホームレスを招待。ホームレスたちは、絵画が飾られた部屋に、思い思いに寝袋や敷物をひいて横たわり、ジッと空中を睨んでいたとか・・・
 これは日本の年越村のような話ではない。富める者との貧しい者の強烈な対比をレザ・アラメッシュが、テート・ブリテンという国立美術館の中に造り出したのである。

 ・・・・・・・・・
 この夜会場を訪れた文化マニアの大多数の人々の印象は、富める者との貧しい者の詩的な組み合わせを分析したり称賛したりするというよりは、度肝を抜かれた人が多かったようだ。
 美術史専攻の学生ジェニーバーンズ(20歳)は、ストリートアートが芸術だとは全然知らなかった。「保安係を呼ぶべきかと思いました」と、彼女は率直な感想を口にした。
 ・・・・・・・・・ビッグイシュー・132号 7ページから引用

 はじめこの記事を読んだとき、レザ・アラメッシュという人のアイデアが凄いというより、テート・ブリテンという国立美術館がよくこの試みを認めたものだと感心した。

 それから数日、このコトをぼやき日記に書こうと思っていろいろと思いをめぐらしていたら、フッと、こんな光景はいつも新宿で見ているじゃないか・・・と、思った。
 最近はあまり都心には出なくなったが、新宿の西口に行けば、富の象徴のような高層ビル群があり、上流階級の正社員が闊歩し、そのまわりにはいつもホームレスたちがいた。
 富める者との貧しい者の現実は、ちょっと時間を作って、新宿駅周辺をひとまわりすれば、いつでも見る事ができる。
 違いは一つ。新宿周辺のホームレスはその存在を無視され、テート・ブリテンのホームレスはその存在を人として意識された。この違いだけである。
 しかし、この違いは、あまりに大きな違いである。

 Reza Aramesh - Action 71 Late at Tate Britain

投稿者 店主 : 2009年12月13日 16:59