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2010年3月 7日 日曜日
ハンス・ベルメールの書籍について
店主がハンス・ベルメールの存在を知ったのは高校の二年生ぐらいの時である。
1972年「gq」という美術雑誌の第1号で〈瀧口修造 「ハンス・ベルメール断章」、澁澤龍彦 「ベルメールの人形哲学」 〉ハンス・ベルメールの存在を知った。
当時、店主は印刷専門の学校に通っていた。当然、まわりには印刷関係の会社の息子もいて、その時の同級生から、これは親父の会社が作った雑誌で店主が好きそうだと、見せられたのが「gq」という美術雑誌。
衝撃的だったというのが、正直な感想。ハンス・ベルメールを何も知らずに見るとかなりの衝撃がある。ベルメールの版画がもたらす甘美な世界は、骨の髄まで一気に浸透した。
1973年に同じく「gq」3号に「ファンム・アンファンの楽園」(ジョルジュ・ユニェ/ハンス・ベルメール)という特集が載った。
この特集、実は製本前のトンボがついたままでページが構成されていた。あとは自分で裁断して本を作れと言う妙な企画だった。
「gq」の雑誌の大きさは横25.5cm×縦30.5cm。「ファンム・アンファンの楽園」を本にすると横9.2cm×縦13cmになる。店主はとても裁断して本にする気になれず、そのまま保存した。
この「ファンム・アンファンの楽園」のミニ本は後日(出版の日時はハッキリしません)出版された。ただし「gq」には印刷されていたものと多少異なっている。
店主の若い頃にハンス・ベルメールの画集や写真集を手に入れるのはかなり難しかった。
洋書さんにあると言う話は聞くものの、二十歳そこそこのガキに売ってくれるはずもない。当時は、ハンス・ベルメールの洋書は輸入されると、評論家のセンセイやアーティストに流れ、店頭でお目にかかることはまずなかった。
なので、知り合いのまた知り合いをたずねて、ベルメールの洋書を借り、カメラで複写した。この頃、コピーは異様に高かったので、カメラで複写した方が安かった。
店主が初めて買った洋書は「HANS BELLMER PHOTOGRAPHIEN SCHIRMER/MOSEL」この本も知合いのアーティストが青山で予約をとっているとの噂を聞いて、強引に買った一冊である。かなりイヤな思いをしたのを記憶しているが、それよりも手に入ったことの方が嬉しかった。たぶん1984年ぐらいの出版と思われる。
この中にある写真をパロッたのが、荒木経惟さん。「ハンス・ベルメールごっこ」という妙な写真が風俗紙をにぎわした。見た時は思わず噴出したのを憶えている。
日本版の書籍では、「gq」のアトに手に入れたのが、「イマージュの解剖学・ハンス・ベルメール」 種村季弘 瀧口修造 訳 河出書房新社である。発行日は昭和50年10月30日となっている。1975年である。
ネットで調べるこのイマージュの解剖学は1992年に出版されたという記述があるが、これはたぶん再販の本と思われる。
変わったところではアートスペース美蕾樹が1992年に出した「UNICA ZURN et HANS BELLMER 」限定950部というのがある。
UNICA ZURN(ウニカ・チュルン)は、ベルメールの後半生の恋人。古書肆 ノワールのこの本の解説を読むと・・・
・・・ウニカ・チュルンといえば、ベルメールの後半生のパートナーであり、彼の緊縛写真(ということは、緊縛をモチーフとした彼のデッサンやリトグラフ、そして人形すらも)のモデルであったことと、精神を病み、投身自殺したそのセンセーショナルなその最期のみが語られがちなのですが、本書は表現者としての彼女にフォーカス、1992に日本で開催された展覧会の図録。とはいえ、やはりベルメールと一対で扱われてしまうところに彼女の悲劇があるような気がします。・・・と、あります。
荒木経惟さんの「ハンス・ベルメールごっこ」も、元をたどれば UNICA ZURN(ウニカ・チュルン)となる。
ウィキペディアの年譜によると、ウニカ・チュルンは1970年に投身自殺をしている。店主がハンス・ベルメールに出会う二年前のことである。そのハンス・ベルメールも1975年に癌で亡くなっている。これは日本の「イマージュの解剖学」 が出た年である。
人生どんな巡り合わせになっているか、ほとんどわからないと言うのが、ここまで生きてきての感想。ハンス・ベルメールによって押し広げられた扉は、今も広がり続けている。彼の魔力からはなかなか逃れられないのである。
「ハンス・ベルメール・コレクション展」・版画・写真・画集等
期間 : 3月8日[月]〜3月14日[日]・12:00〜19:00(最終日17:00)水曜定休
ウィキペディア・ハンス・ベルメール(Hans Bellmer)
投稿者 店主 : 2010年3月 7日 16:05
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