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2010年6月 2日 水曜日

天使たち

 大野一雄は何もかも忘れて死んだのだろうか・・・新聞の報道によると、彼は6月1日午後4時38分に死亡したと書かれている。

 彼が死の淵を彷徨っている時に、店主は一人の天使と会っていた。その人は26歳の女性。ダウン症という運命を背負ている。

 これはうまく説明できないことなのだが、彼女と話す言葉は一つ一つ店主の心に染み渡った。彼女が描いた作品を見ながら「どれが好きなの?」と問うと、彼女は「これが好き」と答える。そして、瞳がキラキラッと光る。
 それ以上に何も説明はいらない。彼女の気持ちがあまりにも素直に純粋に伝わってくるのに、店主はちょっと戸惑った。逆に店主の汚れちまったモノが彼女に伝わるのが怖かった。
 こんな経験は生まれて初めての事。その彼女から彼女自身が描いた絵をバックにプリントするように頼まれ、その場で作ると、また瞳がキラキラッと光った。
 子供でも身構える店主。他者の存在が、こんなに素直に受け入れられることは、店主の中では本当に久しぶりの事だった。

 そして今日の朝、大天使、大野一雄が死んだ事を知った。彼とは一度だけ食事をした事がある。身を正して、静かに、とても静かに食事をされていた姿が記憶に焼き付いている。その場に座っている自分が何故かとても恥ずかしかった。

 一人は自分の歴史を閉じ、一人は未来に向けて行動をおこしている。そして、店主は汚れしまった自分を繕いながら、ジッとそれを見ている・・・

 未来に幸あれ。

Susan Boyle - Wings To Fly

 ダウン症の人を天使と言うのはある意味差別だと言う事は店主も承知しているが、大野一雄を天使だと言ったとしたら、それは差別につながるのだろうか・・・その意味で、昨日お会いした彼女を店主は天使だと思った。

投稿者 店主 : 2010年6月 2日 14:06

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