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2010年12月 1日 水曜日

ゴゴゴ覚え書き

 今回のゴゴゴ展、実は途中からかなり怖くなった。何故か・・・

 怪獣と言うのは日本が生み出した特異な存在?。妖怪でもなく、モンスターでもない。怪獣は怪獣でしかない。ウィキペディアによると、「怪獣(かいじゅう)とは、正体のわからない、怪しい獣。」となっている。

 茶柱さんの怪獣の四コマ漫画の言葉を借りれば「なぜ猫たちが巨大化を!? おそらく周辺の大気汚染や異常気象等、複数の要因が何らかの形で猫たちに影響をおよぼし・・・突然変異をおこしたのでは・・・巨大化の定番ですネ。」となる。怪獣発生の原因は人であると言うことになるらしい。

 怪獣を生み出す原因は人にあるという設定は、よくよく考えてみると鋭い設定である。怪獣と言う概念が戦後に生まれたのもどことなく納得できるのである。現実に戦争という不条理な破壊を体験した人たちによって、生み出されているのはとても興味深い。その感覚は、戦争を知らない世代によって継承されていく。

 簡単に言えば身から出た錆という設定が、怪獣ということになるのだが、その錆を落とす為にあらためて戦いを挑む。自分たちが作り出した怪獣を、自分たちの手で破壊する。あまりにも人間臭い不条理である。しかし、現実の戦争と似ていながらも、根本の戦いは、空想という世界に封印されている。

 封印されているからこそ、人は自由に怪獣を想像できるのであろう。

 ゴゴゴ展がはじまってから、店主も自由に空想怪獣展示会「ゴゴゴ展」の中で遊んだ。これから出撃!、新兵器登場とか、人類が勝つか?とか、戦車恐竜、防衛軍隊長、前線ギャラリーとか普段使わない言葉がどんどんと飛び出した。これらの言葉がゴゴゴ展という空想の世界を膨らましていったのである。

 ツイッターは店主にとって、ギャラリーと外の世界をつなぐツールとしてとらえている。だから、ギャラリーでおこっている空想の世界を表現する為に、いろいろな言葉を駆使することになる。他方で、ツイッターは現実の世界ともつながっている。そこには様々コトがつぶやかれている。

 現実と非現実の狭間で、店主が怖くなったのは、11月23日の北朝鮮による韓国・延坪島砲撃である。

 空想の世界で、出撃!新兵器!防衛軍隊長!前線ギャラリー!と言っている間は、何ら問題はないが、実際に戦争が起こった場合は、この言葉は果たして使い続けられるのか?という疑問が生まれてしまった。実際に民間人も死んでいる。

 空想の世界が、ねじれながら現実の世界と共鳴をはじめるような怖さが、そこにはあった。

 11月23日以降、店主の言葉がかなり意識的に選ばれているのが、自分でもよくわかった。こんな経験は初めてである。
 延坪島砲撃も人間が生み出したものである。同じ人間が生み出したものなのに、空想の世界での怪獣たちとの戦いは楽しいが、現実の戦いはどこまでいっても、醜く悲惨である。

 トリックスターという言葉がある。ウィキペディアによると、「トリックスター (英語 trickster) とは、神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を引っかき回すいたずら好きとして描かれる人物のこと。」とある。現実と空想、秩序と物語をつなぐことができるまれな存在がトリックスターである。

 今回のゴゴゴ展の怪獣たちも、すべてみんな物語を持っている。物語はすべて人間と関わっている。関わることでその存在を保っている。その意味では怪獣たちはトリックスターである。言い方を変えれば、彼らの存在は、現実の秩序に対するアンチテーゼとなるのかもしれない。延坪島砲撃もギャラリーの怪獣たちも現実である。

 この二つを比べると、現実の戦争には、実は物語なんて言うものは、ないのではないのか?と、思ってしまう。そんな殺伐とした世界にたじろぐことなく、自分たちの物語を構築する。構築しながら、現実を変えていく・・・

 自分たちの心の中の物語を紡ぐと言うことは、極論すれば世界を変えると言うことと等しいのかもしれない。

 だから人はアート作品と言うものを作るのか・・・作るコトによって、変わる世界もあるはずである。どちらがいい世界なのかと問われれば、言葉が自由に使える世界、作品が自由に作れる世界を、店主は良い世界と考えている。

 現実の世界でおきた延坪島砲撃で、店主は一時的ではあったが、使う言葉に躊躇し、不安を覚えた。これは良い世界ではない。

 創造の世界、空想の世界はすべてにおいて自由である。この自由さを自分の中で守る為にも、できれば、ゴゴゴ展は続けたいと思っている。ゴゴゴ展の怪獣たちがどのような変貌を遂げるのか、どのような戦いをするのか、そして、どんな物語を紡ぐのか、店主はゴゴゴ展が終わった今も知りたいと思っている。

投稿者 店主 : 2010年12月 1日 19:13